人に物事を頼む・任せる
「人を使う」というのはあまり響きがよくありません。表面的な指示によって、人を物理的に「動かす」かのようなニュアンスを感じます。従業員は奴隷ではありません、協力者です。従業員の働きが良くないとすれば、マネージャー(強いては経営者)と従業員双方に原因があるでしょう。
ここでは、効率よく従業員に働いてもらう方法について考えます。
例として、仕事が始めてというアルバイトさんに「挨拶をきちんとしてもらう」ように指示を与える場面を考えます。以下はその言い方、言う内容をいくつかの種類に分けてみました。
- 「挨拶をしなさい!・・・・」
- 「同僚やお客様にはきちんと挨拶しなさい!」
- 「挨拶をして下さい、それがルールです。」
- (朝礼などで全体に対して)「私は気持ち良く、元気良く仕事をしたいと思っています。何故なら、その気持ちはお客様、従業員に伝わって相手も良い気分になる。お客様も増え、売上が上がり、皆さんへ還元できます。そのためには、元気の良い挨拶で空気を明るくすることが何よりも基本だと思うのです。是非協力をお願いします。」
以上は極端な例です。
①は挨拶という行為・動作を指示しています。②はそれを少し詳しくしたもので、③はルールだと教えています。
④はここまで言うと逆に不快を与えるという意見もありそうですが、極端な例であって要は挨拶の目的を説明しています。
世界的なベストセラーである「7つの習慣」(キングベアー出版:スティーブン・R・コヴィー著)の一節に、他の人に仕事を任せること=デレゲーションについての解説があります。そこでいう完全なデレゲーションとは
- 望む結果について相互理解する
- ガイドラインを与える
- 使える資源を明確にする
- 責任に対する報告と評価
- 履行の結果によってどうなのかを明確にする
という五つの要素を挙げています。
つまり、指示にどういう結果を期待しているのかを伝え、手段(表面的な行動など)は相手に想像してもらうということが基本だということです。必ずしもゼロから考えさせる必要はなく、ガイドライン(こんな方法がある、こんな方法は既に間違いだと知っているなど)や使える資源(条件)を与える事で無駄を省き、報告と評価、結果が自分にとってどう関係するのかを理解させる事で自分ごととして受け入れてもらうというステップが必要だということです。
伝え方に関しては多くの書籍が発行され、様々な意見や研究もあるでしょう。意思の疎通というのはなかなか難しい問題です。しかし、動物に比べ高度なコミュニケーションできたからこそ人類がここまで発展できた訳です。
従業員と深く理解し合うために適切なコミュニケーション能力を身につける事も飲食店経営者として欠かすことのできない事ではないでしょうか。
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