飲食店の従業員・スタッフ育成

カフェ、居酒屋、レストランなど飲食店全般における従業員・スタッフとの接し方や教育・育成についてのカテゴリです。
基本的な事はもちろん、人材の活用方法についても紹介していきます。

  1. 「個人」の限界
  2. 人に物事を頼む・任せる
  3. 従業員教育について(関係性)

飲食店の従業員教育について

上司と部下の関係性は、状況や部下の成熟度のよって変化させた方が望ましいとする考え方があります。

かなり簡易的ですが、考え方をご紹介します。

1.未経験者、新人レベル

仕事において右も左もわからず、考える基準も定かではないため、自分の頭で考えさせるという行為に多少無理があります。そのため、情緒的な説得や精神論を語っても反感を買ってしまう可能性が高く、逆効果にもなり得ます。場合によっては辞めてしまうリスクもあります。

個人的な、あるいは人間的な関係作り以前に、状況を理解してもらうために仕事をきちんと説明し、方法を具体的に指示する段階だと考えられます。

2.経験者、基礎的な仕事を理解しているレベル

仕事場の立場、状況が最低限理解できている段階です。この場合は多少余裕が生まれているはずなので、自分の頭で考えることが多少可能になるでしょう。そのため、仕事を単に指示するのではなく、理解させるために説得する方が効果的です。人間関係、信頼関係も必要になり、コミュニケーションの重要性が増します。

3.自分自身で仕事の判断が可能なレベル

現場での仕事に限って言えば、リーダー(上司)と同等の仕事が行えたり互いに仕事を分配できる段階です。ここまでくると指示する側、される側という関係よりも互いが仕事に参加しているという同等のスタンスで対応する方が効果的です。

ただし、リーダーは通常現場以外の仕事もあり、経営者であれば尚のことですが、それを踏まえた上で現場に関しては相手を認める寛容さが必要かもしれません。

4.成熟度が非常に高いレベル

部下が主体的に仕事に取り組める十分な力量がついた段階です。部下というよりも協力者であり、ある分野においては委任する形で接するべき段階です。自分自身が引っ張るというスタンスよりも、相手を尊重する部分もでてきます。どれだけ部下の主体性を発揮させることができる環境や仕組み、誘因を用意できるかが鍵になるでしょう。

 

以上が部下の成熟度に応じた関係性の概要です。

これに状況を考慮すれば一段と複雑な話になりますが、最低限このような関係性の変化が存在する事を知っていれば対応できるのではないでしょうか。

人に物事を頼む・任せる

「人を使う」というのはあまり響きがよくありません。表面的な指示によって、人を物理的に「動かす」かのようなニュアンスを感じます。従業員は奴隷ではありません、協力者です。従業員の働きが良くないとすれば、マネージャー(強いては経営者)と従業員双方に原因があるでしょう。

ここでは、効率よく従業員に働いてもらう方法について考えます。

例として、仕事が始めてというアルバイトさんに「挨拶をきちんとしてもらう」ように指示を与える場面を考えます。以下はその言い方、言う内容をいくつかの種類に分けてみました。

  1. 「挨拶をしなさい!・・・・」
  2. 「同僚やお客様にはきちんと挨拶しなさい!」
  3. 「挨拶をして下さい、それがルールです。」
  4. (朝礼などで全体に対して)「私は気持ち良く、元気良く仕事をしたいと思っています。何故なら、その気持ちはお客様、従業員に伝わって相手も良い気分になる。お客様も増え、売上が上がり、皆さんへ還元できます。そのためには、元気の良い挨拶で空気を明るくすることが何よりも基本だと思うのです。是非協力をお願いします。」

以上は極端な例です。

①は挨拶という行為・動作を指示しています。②はそれを少し詳しくしたもので、③はルールだと教えています。

④はここまで言うと逆に不快を与えるという意見もありそうですが、極端な例であって要は挨拶の目的を説明しています。

世界的なベストセラーである「7つの習慣」(キングベアー出版:スティーブン・R・コヴィー著)の一節に、他の人に仕事を任せること=デレゲーションについての解説があります。そこでいう完全なデレゲーションとは

  • 望む結果について相互理解する
  • ガイドラインを与える
  • 使える資源を明確にする
  • 責任に対する報告と評価
  • 履行の結果によってどうなのかを明確にする

という五つの要素を挙げています。

つまり、指示にどういう結果を期待しているのかを伝え、手段(表面的な行動など)は相手に想像してもらうということが基本だということです。必ずしもゼロから考えさせる必要はなく、ガイドライン(こんな方法がある、こんな方法は既に間違いだと知っているなど)や使える資源(条件)を与える事で無駄を省き、報告と評価、結果が自分にとってどう関係するのかを理解させる事で自分ごととして受け入れてもらうというステップが必要だということです。

伝え方に関しては多くの書籍が発行され、様々な意見や研究もあるでしょう。意思の疎通というのはなかなか難しい問題です。しかし、動物に比べ高度なコミュニケーションできたからこそ人類がここまで発展できた訳です。

従業員と深く理解し合うために適切なコミュニケーション能力を身につける事も飲食店経営者として欠かすことのできない事ではないでしょうか。

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