宴会セールス
シティホテルなど施設内に宴会場を持つ業態では、催事や宴会、イベントなどが大きな収入源になっています。そのため法人営業部や広報部が自社内に組織されている事も少なくありません。宴会セールスに関するノウハウは、一般的な飲食店にとっても参考になると思います。
営業による集客の4ステップ
法人営業が担う主な役割について解説します。
①見込み客の情報を収集し、整理する
営業の大切な役割の一つが情報収集と整理です。
最終的な目標は売上を上げ、顧客に商品を提供するということですが、無作為に訪問を続けるたけでは効率よく売り上げる事はできません。売上効率を上げるには、より契約を頂ける可能性の高い顧客から順に営業活動を行う必要があります。
一般的に、過去に取引のある顧客の方が新規の顧客よりも契約を頂ける可能性が高いため、いわゆるルート営業、フォロー活動によって顧客の固定化を図りますが、完全に顧客を固定化させる事は不可能なめ適切に新規営業も行わなくてはいけません。
新人の営業マンには固定客がいないため、当初は新規の比率が極端に多くなりますが固定客が増えるにつれてルート営業的な活動に変化していきます。
では、新規営業ではどのような顧客が最も契約の可能性が高いかというと、電話や直接来館頂くなどして問合せを頂いたお客様ということになります。
顧客の心理に関する有名なAIDMAモデルでは、
A : Attention(注意)
I : Interest(関心)
D : Disire(欲求)
M : Memory(記憶)
A : Action(行動)
という順序を経るとしているが、問合せを行ったということは最終段階の(行動)まで行っている訳であるから契約に至る最終段階(最も契約可能性の高い段階)であると言っていいでしょう。
理論的には様々な見解、説が存在するが上記のモデルの項目を満足している顧客をあらゆる手段で発見し、優先順に整理することで見込み客リストというものが出来上がる事になります。
②見込み客とのコミュニケーションを行う
営業側から情報や接点を提供したり、顧客側から問合せや質問、依頼を受けるとい双方のやりとりであるという意味でコミュニケーションを行います。
提供の意味では、見込み客に対して訪問、DM、電話などの手段を通じて情報の提供、商品の提案を行います。
逆に顧客から何かしらを受領するという意味では問合せや質問を受け、それに対する返答を行うことで、顧客の購買意欲を高め(上記のAIDMAモデルの段階を上げ)最終的に契約に導きます。
③契約を結ぶ
顧客が要求する内容をまとめた上で整理し、確認します。
またそれが自社(自社を基点する取引関係)で提供できる内容であるか、総じて顧客の要求を満たすことができか最終チェックを行います。
顧客との間に認識の違いやトラブルの恐れがないかなどを互いに確認する段階です。問題がなければ、書面や口頭によって契約を結びます。
この段階でどれだけ価値の高い提案ができるか、つまり客単価を上げたり顧客の満足度を上げることができるかという意味では営業の集客能力とは異なる契約能力とも言えるスキルが重要です。
④施行する
契約を締結しても商品と代金の交換がなければ何の意味もありませんので、契約を具現化する段階です。
契約内容を社内に必要な情報に整理し、担当部署に対する指示や打ち合わせといったコミュニケーションを行います。
社内の準備、顧客に対する経過連絡などを行いつつ施行当日を迎えます。
施行内容によっては当日自身も同席し、施行の進捗確認、不備があった際の判断をし現場への指示を行い顧客対応も行います。
ホテルにおける宴会セールス
ホテルの収益は「宿泊」だけではなく、レストランや宴会場を利用した「料飲」もあります。
いわゆるシティホテルと呼ばれる、都市型・大型ホテルではビジネスホテルに比べ圧倒的に「料飲」が売上に占める割合が高くなります。そのため、現在では多くのホテルがセールス・マーケティング部門を設けています。
ホテルによっては「宿泊営業部門」、「料飲営業部門」というように活動領域を区分けしていることも多くあります。
「宿泊営業部門」は主に旅行代理店などを営業対象とするのに対し、「料飲営業部門」では直接顧客(主に法人の利用客)に対する営業活動を行うことが多いです。個人におけるホテル利用の代表格はブライダルですが、料飲営業部門とは切り離されている場合もあります。
法人を含む各種団体には、運営の一環として様々な宴席の機会が存在します。記念式典や懇親会などの各種宴会、学会、展示会などです。
このような様々な宴会情報を収集し、業種別又は地域別に見込み顧客を絞込み新たな利用客の獲得とともに既存顧客の固定化を図るのがホテルにおける法人営業(宴会セールス)の位置づけです。